遺留分を渡したくない場合にはどうすればいいのか?生前にできる対策を弁護士が解説

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遺留分侵害請求権とは何か

配偶者や子等の法定相続人には、遺留分が認められています。遺留分とは、相続人の一部が最低限、遺産に対して有している権利です。遺留分が侵害された場合には、その侵害が生じた分の金銭を取り戻すために請求が遺留分侵害額請求です。

遺留分を渡したくない場合にできる対策とは

まず、遺留分権利者に遺留分侵害額請求をされてしまった場合に、それの拒否することは極めて困難です。それを前提として、考えられる対策をいつくか紹介します。
まず、遺留分権利者に、遺留分の事前放棄をしてもらう、という方法があります。相続が発生する前であっても、遺留分権利者は、家庭裁判所に対し、遺留分の放棄の許可を求めることができます。もっとも、遺留分権利者自身が申立てを行う必要があるため、この方法が使える場面はかなり限定的です。
また、生命保険を利用する方法も考えられます。生命保険の受取人の保険金請求権は、受取人固有の権利であるため、相続財産に含まれないのが原則となります。保険金の支払いにより財産が減少すれば遺留分は減少することになり、保険金は受取人が受け取ることになるため、実質的には保険料分の財産を受取人に少しずつ渡しているような形ともいえます。
なお、遺言に、遺留分権利者に対し、遺留分を行使しないように記載しておくこともできますが、このような記載に法的拘束力はありません。

対策しても遺留分を請求されてしまった場合の対応

遺留分の侵害が発生しているのであれば、遺留分侵害額請求は認められる可能性が高いといえます。
まず、本当に遺留分の侵害が生じているのかを確認する必要があります。遺留分を主張している者が遺留分権利者か、相続財産の評価額は適切なものか等を確認しましょう。
また、遺留分侵害額請求権の時効は、「遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年」です(民法1048条)。時効が完成している場合もありますので、請求を認めるような対応はせず、時効に関する事情の把握に努めましょう。

生前対策されてしまった遺留分が請求できない場合の対応

遺留分の侵害が発生している場合、遺留分権利者からの遺留分侵害額請求を、法的に意味のある形で拒絶するのは困難な場合が多いです。
まずは、遺留分が請求できないとする根拠が、本当に法的に意味のあるものなのかどうか、確認する必要があります。

弁護士に相談して解決できること

そもそも遺留分の侵害が発生しているのか、発生しているとして侵害額として請求されている金額が適切なものなのかは、判断が難しいこともあります。弁護士に相談することで、事態を正確に把握し、適切な対応をとることができます。
また、遺留分侵害額請求が問題となる事例では、請求する側とされる側の感情的な対立が激しく、法律論としては複雑でなくても当事者同士での話し合いをすることが困難なケースもあります。このような場合には、代理人として弁護士を立てることで、解決に向かう場合もあります。

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